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この話は作り話です。


(20才、男性、フリーター)

「さよなら・・。」

彼女から別れ話を切り出されたのはクリスマスの一ヶ月前だった。
仕方ない。
バイトが忙しく、なかなか時間が取れなかった。

何も言えなかった。

一生懸命バイトしたのには
意味があったんだけどな・・・。

彼女がほしいと言っていた
ブランド物のバッグ。

これを買うために・・・

それも無駄になってしまった。

せめてもの救いは
彼女が受け取らなかったということ。

悪いやつじゃなかった。

それだけはうれしかった。


2週間たって
まだ家にバッグはある。

どうしたらいいのかよくわからない。
おれが使うのも何だしな・・・。

次の日
バイト先にボロボロのかばんを使っている女の子がいた。

一つ下の大学生だ。
この子にあげるか。

「バッグ、ほしくない?」
「何言ってるんですか?」

すごく警戒したみたいだった。
そりゃそうか。
事情を話した。

「でも・・・いいんですか?」
「おれが持っててもなんだし。」
「質屋に売るとか。」
「それも思ったんだけどね
思い出を売るみたいな感じがして出来ないんだ。
買ったままあるから、売っちゃってもいいよ。」

「それは・・・でも、わかりました。」
「そう、それじゃ明日持ってくるよ。」
「いえ、今日バイト終わったら取りに行きます。」
「そ、そう?」

変な方向に話は進んている。
ま、いいか。このバッグがここからなくなれば。

電話がなった。
「今、駅についたんですけど。」
「それじゃ、すぐ行くよ。」

バッグを持って行ったのに
なぜかおれの家まできてしまった。

「開けてみてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。」

「これ・・やっぱり受け取れないです。」
「何で?」
「だって・・・すごく高かったでしょ?」
「高かった。」

納得したような顔をした。
「やっぱり。」
「でも、このかばんがね・・ちょっと・・・。」
「そっか。それで、私にくれようと思ったんですか。
これはこっちに来た時にもらったんです。」
「彼から?」
「違います〜。おばあちゃんから。」
「それじゃ大事にしないとだめだね。」
「はい、大事にしてます。」

悪いこと言っちゃったなあ。
素直にそう感じた。
せっかくだから何か・・・あ、そうだ。

「ここまで来てもらったのに悪かったね。
そうだね・・・それじゃ、これあげる。」
「なんです?」
「おれがいつも使ってるボールペン。」
「ボールペン・・。」
「これね、すっごく書きやすいんだ。」
「ありがとうございます。」
「こんなので悪いね・・。」
「いえ、うれしいです。」

結局クリスマスになっても
バッグは部屋にある。

「売っちゃうかな・・。」

でも、ひとつうれしかったのは
ボールペンのお返しにもらったもの

「これ、お返しです。」
「なに?」
「私がいつも使ってるボールペン。」
「そう?ありがと。」

「交換ですね。」
「そうだね、交換だね。」

結局あれだったのかな・・・。
彼女にもこういうプレゼントでよかったかもな。

今年はいい勉強になった。
来年はいいクリスマスになるといいな。

「今日はクリスマスですね。」
「外もクリスマスって言う感じだね。」

ここから外を見ても
普段よりカップルが多いような気がする。

「今日はいつもより忙しくなります?」
「当たり前でしょ〜。」
「そりゃそうですよね。」
「頑張りますか?」
「はい、頑張りましょう。」

休憩中。
「そういえば、あのバッグはどうされたんです?」
「明日売ることにしたよ。」
「そうですか。それがいいと思います。」
「お金入ったら食事でも行くかな。」
「私もつれていってください。」
「それじゃ・・行きますか〜。」


次の日。
「みんなも誘ったんですか?」
「ああ、人数多いほうが楽しいかなって。」
「でも・・・。」
「誰も来なかったね。」
「二人きりですね。」
「やめる?」
「いえ、行きます。」
「それじゃ、行こう。」

いつもは入らないレストランで食事をした。
予想していたよりもずっとおいしかった。

バッグは買った値段の四分の一にもならなかったけど
それ以上にうれしかった。

ありがと、サンタさん。

「あっ、ワイン来ました。」
「それじゃ飲もっか。」
「はい。」

かんぱ〜い。


Merry Christmas!

小説こ〜な〜まで戻ります


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