この話は作り話です。


電車の中・・・

私は外を見ているようで
何も見ていない・・・。

何がどうしてこんなになっちゃったんだろう・・・。

私は別に嫌いになったわけじゃない。
でも・・・
けんかになった。

たぶんささいな理由だったと思う。

今となってはどうでもいいことだ。

もう疲れちゃった・・・。

そう考えていたら、うとうとしてきた。

いつの間にか寝てしまった・・・。



あれ・・・?ここどこ?

いつもは乗らない電車。
乗り過ごしたみたい。

ま、いいか。たまには。

駅員さんに精算してもらって駅から出た。

何があるんだろう・・・。

歩いてみても、特に何かあるわけではなかった。
大きいお店はないけど
商店街があって小さいお店がたくさんあった。

本屋さん
お肉屋さん
八百屋さん

いろんなお店がある中
喫茶店があった。

中に入ってみると
お客さんは一人もいなかった。

「いらっしゃいませ。」

適当なところに座った。

店員はいないらしい。
店長らしき人がお水を持ってやってきた。

「何にしますか?」
「コーヒーください。」
「かしこまりました・・・。」

ゴリゴリ・・・
ポコポコ・・・

本格的なコーヒーのお店らしい。

「どうぞ。」
「ありがとう。」

何気なく飲んだコーヒー
すごくおいしく感じた。

「おいしい。」
「ありがとうございます。」

店長はカウンターの中でこちらを見ずに挨拶してきた。

そういえば静かにコーヒーを飲むなんて
最近なかったな・・・。

「ごちそうさまでした・・。」
「ありがとうございました。」

私がお金を払うと店長がおじぎをした。

「なんていうコーヒーなんですか?」
「ブレンドですよ。」
「こだわりとかあるんですか?」
「こだわりっていうものでもないんですよ。
強いて言えばお客を見てからブレンドしますけど。」
「私のはどういう感じだったんですか?」
「ゆったりしたい。ですね。」

それでか・・・

喫茶店は言い合いをする場所。
ここ3ヶ月はそんな感じになっていた。

「ありがとうございます。落ち着けました。」
「そうですか。それはよかった。」

お店を出た。

そうだよね。
ここのところ仕事が忙しくて
ゆったりなんていうことはしてなかったよ。

ということは・・・
けんかの原因は私か・・・

そんなことを考えていたら
携帯電話が鳴った。
「もしもし・・・。」


電話を切った後、急に元気が出た。

私って単純なのかな・・・。
駅まで行く足取りがとても軽やかになっていた・・・。



『もしもし。』
「・・・・。」
『さっきはごめん。』
向こうから謝ってきた。
いつもならここで終わるんだけど・・・
「私のほうこそ・・・ごめんなさい。
最近、仕事が忙しくて、その辛さをぶつけてしまいました。」

素直な気持ちをすらっと言えた。

そうしたら向こうも思っていたことを言ってくれた。

ほんとにけんかの理由はささいなことだった。

お互いの気持ちを考えているようで
考える余裕がなったくなかった。

それが遠慮という形になっていて
思っていたことが言えなくなったみたいだった。



『レストラン予約入れてあるんだけど、行きませんか?』

「はい。」

待ってるみたいだから、早く行こ。


ふふっ。
私が会いたいだけなのにね。

こういうのを素直じゃないって言うのかな・・・

(24才、女性、OL)

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