この話は作り話です。


(16才、女性、高校生)

お母さんに突然言われた言葉。
「お父さん、転勤することになったから。」

ようやく二年生になったばかりの時に
ふと宣告された。

遠まわしだけど直接的な転校という通知。

友達に話したら
「会おうと思えば、会えない距離じゃないね。」
と慰められてしまった。

そんな時、ラジオから歌が流れてきた。

ユニコーンの大迷惑。

なんか似てるな・・・。
この歌ではマイホームを買って家族と暮らすのがすごくうれしいときに
突然、宣告された単身赴任。

悪魔のプレゼントとまで言ってるけど
何か当てはまるかも・・・。

誰が私を救ってくれるんだろう・・・。


それからの私は試験を受けたり
面接を受けたりして
今よりレベルの高い進学校になんとか転校先が決まった。

こりゃ頑張らないといけないな。

引越しは業者の人たちが頑張ってくれたおかげで
そんなに疲れなかった。

転校先が決まったあとは
今の学校には行っても行かなくてもよくなった。

でも、ぎりぎりまで通った。
やることなかったから。

友達も先生も暖かく迎えてくれた・・・
ような気がする。

こういうのって気がつかないもんだね。
なくなりかけてようやく大事なものだったんだなって
気がついた。

ま、気づけただけでもいいかな。


そして今の学校の最後の日。
本当は午後まであるんだけど
私は午前中で早退。
なので、お別れ会とかお食事会があるわけでもなく
あっさりと終わった。

でもね、みんなからはがんばるんだぞ〜と
声をかけてもらった。

これはとてもうれしかった。


その日に引越し先に移り
家の周りを歩いた。

早く覚えなくては・・・。


とりあえず家から駅までのルートは何回か
日曜日にきて歩いていたからわかっていた。

駅の近くの本屋に入った。

う〜ん、いろんな本があるな。
あ、そうだ。参考書買わなきゃ。
ってお金が足りないや。
なので、その本の値段を見て
一旦家に帰ってお金を取ってきた。

その本屋に戻って
本を取ろうとした時
同じようにその本を取ろうとした人がいた。

「あ・・。」
「どうぞ。」

私が明日から行く学校の制服だ。
でも・・・よかった。
私は今、ここの本屋しか知らないし
取られちゃったら買えなかった。

譲ってくれてよかった。

ついでに頼まれた本を探していると
さっきの人は料理コーナーのところで本を探していた。

あの人、何を買いにきたんだろう。
いろんな人がいるもんだね。

レジに向かって行くと
ちょうどあいてた。

やった。
と、そこでレジに同じタイミングで入ってきた人がいた。
「あ・・・。」
「さき、どうぞ。」

この人って・・・譲り好き?
ちょっとうれしかった。

全く知らない街だけど
こういう人のやさしさって言うのかな?
暖かさってどこに行っても一緒なんだね。
って思うと私も暖かくなれたような気がしてうれしかった。

だから私は素直にお礼を言えた。
「先ほどはありがとうございます。」
「いえ。」
手にはさっき選んでいた料理の本を持っていた。
料理するんだな。この人。

帰り道、この人はスーパーで食材を買っていた。
さっそく作るんだなって思った。


次の日
さて、初日だ。

緊張するけど頑張ろう。


あ・・・あれ?
私の席の前の人・・・。
昨日の人かな?

でも、いいか。
帰りは同じ方向だし
その時にでもお話できればいいかな。


そんなこんなで
転校初日は無難に終わった。

昨日の人の隣りに座っていた人は
女性だったんだけどやさしくていろいろと教えてくれた。

友達になれそうな感じだった。

放課後、家に帰ろうと
まっすぐ駅まで向かった。

気がついたら昨日の人が近くにいたので
話しかけることにした。
「少し時間ありますか?」
「え?」
「ちょっといいですか?」

どこかに寄ると迷惑かなって思ったから
歩きながら話した。

「料理するんですか?」
「え、なんで?」
何をそんなに驚いているんだろう・・・。
さては・・・昨日会ったって気づいてないな。

そりゃそうか。
昨日は私服で今日は制服だもんね。

「昨日、料理の本買ってましたよね。」
「見てたの?って昨日はまだ知らない人だよね。」
「だって、明日から行く学校の制服の人だなって。
そしたら参考書譲ってもらったり
レジでも先に行かせてくれたり・・・。」

昨日会ったばっかりの人で
たまたま同じクラスになっただけなのに
私の話をまじめに聞いてくれていた。

「私も料理好きなんですよ。」
「あ、そうなんですか?」
「あ、私の家こっちのほうなんで。」
「あ、それじゃ気をつけてね。」
「・・・よかった。」
「へ?」
「いえ、それじゃ明日。」

すごい偶然もあるもんだ。
昨日の本屋であった人と
同じクラスになるなんて・・・。
やさしい人でよかった。
なんて考えながら家に帰りました。


またまた次の日。
学校へ行く途中の駅で
おとといの人と会った。

おはようございます!

なんだか今日はすごくいい一日のような
そんな気がします。

転校って悪いことばっかりじゃないんだね。


終わり





あとがき
すっごい思いつきなんだけど
男の子バージョンを書いていたら
女の子からの視点でもお話になるなあと
とりあえず作ってみました。

女の子バージョンのほうは
途中から男の子バージョンの流れにあわせないといけないから
制約ありまくりでちょっぴり大変だったんだけど
話が合わなくなったら男の子バージョンのほうも変えながら
なんとかまとまりました。


正直なところでは
わざわざ転校生にしなくても
本屋での出会いだけでお話になるんですけど
よくあるマンガや小説にありがちなお話を
入れてみたかったので
このような形になりました。

私は転校したことがないからわからないんですけど
そんな感じなんでしょうね。

経験のある方はぜひ教えてくださいまし。


最後に、ユニコーンの大迷惑は
おそらく検索かければ歌詞はわかると思いますが
一番いいのはレンタルショップで
借りて聞いてみるといいと思います。

歌詞のわりに明るい曲調だから。

それに聞いたことあると思いますよ。

小説こ〜な〜まで戻ります