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「さつき、明日どうする?」
「う〜ん、明日バイトあるしなあ・・。」
「そっか、あんまり無理するんじゃないよ。」
「わかってるよ。」
「それじゃね。」
「うん。それじゃね。」
私は仲間と別れて家に帰った。
私は普通の高校生とは言いがたいと自分でも思う。
まわりの友達も外見からして普通じゃない。
高校生なのに学校に行かないし
化粧はしてるし、髪の毛は茶髪だし・・・
俗に言うヤンキーというやつだと思う。
でも、この仲間といるとなぜか気持ちがいい。
何でだかはよくわからないが
もやもやしているのが取れていく感じだった。
私たちにはリーダーがいない。
でも、この人には逆らわないほうがいいと言う人はいる。
年齢は一つ上の恭子さんだ。
この人が言うには働いていたほうがいいらしい。
なのでファミレスでバイトしている。
働いて出来たお金はいろいろと使っている。
みんなと食事に行ったり、遊びに行ったり
服を買ったり、化粧品を買うのに使っている。
バイト先にも仲間が出来た。
変なやつが多いが働いている目的がある以上
根はいいやつが多い。
そのバイト先には
大学に通っている人もいる。
私が入る前から働いていた人に
誰が聞いても知っているような一流大学の人がいた。
「さつきちゃん、これはこうやるの。」
「ちがうよ、さつきちゃん。」
「きょうは頑張ったね、さつきちゃん。」
何も出来ない私のことをいろいろとフォローしてくれた。
私のことをさつきちゃんと呼ぶ人はこの和子さんくらいだろう。
「和子さんもあがりですか?」
「そうだよ。一緒に帰る?」
「そうします。」
「今日は疲れたねえ、さつきちゃん。」
「そうですね、今日はどっと来ましたから。」
「そうだね。でも、だいぶ慣れてきたね。さつきちゃんは。」
「そうですか?」
「うん、かなり楽できたよ。だんだん仕事覚えてきたもんね。」
「和子さんのおかげです。」
「よしよし、いい子だよ。この子は。」
頭を撫でてきた。
「止めて下さいよ。」
「そう?」
嫌がるそぶりを見せたが、私はかなりうれしかった。
今までこういう風に接してくれる人はなかなかいなかった。
「そうだ、今度大学のサークルでイベントがあるんだけど
よかったらさつきちゃんもこない?」
「え・・・、でも・・・。」
「時間無いかな。」
「いいんですか?私が行っても。」
恭子先輩に聞いてみよう。
「ちょっといいですか?」
「さつき、どうした?」
「大学のサークルのイベントに誘われたんですけど」
「うん。」
「どういう格好していけばいいんでしょう。」
「普通でいいんじゃない?」
「いや、その普通と言うのがよくわからなくて。」
「誘ってくれた人は普段どういう格好?」
「バイトに来る格好だから、普通の・・・」
「それ!そういう格好でいいの。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「一ついい?」
「何でしょう。」
「恥かかせたくないんでしょ?その人に。」
「はい・・・。それが心配で・・・。」
「そういう細かいことは気にしないほうがいいよ。」
「そうなんですか?」
「うん、さつきは恥ずかしいところなんて一つもない。
誘ってくれた人ってしっかりした人なんでしょ?」
「はい、それはもう・・・。」
「その人の事、信じてもいいんじゃない?」
「え?」
「さつきが変なやつなら誘ってないでしょ?」
「あ・・・はい。」
ちょっと気持ちが楽になった。
イベント当日。
「こんにちは。」
「さつきちゃん、遅い!」
「え?遅刻しました?」
「うそ!それじゃ行こ!」
「びっくりするじゃないですか。」
「そう?」
どうもこの人は私をからかって喜んでいるところがある。
からかわれるのは好きじゃないけど
この人は戸惑う私を見て無邪気に喜んでいる。
そういうところは何かいいなと思う。
自然体と言うか、わがままと言うか・・・
そういうところにもひかれているのかもしれない。
「さ、ついたよ。」
「和子さん、これって・・・。」
「そ、レストラン。」
「学園祭でレストランやるんですか?」
「楽しいよ〜。」
「そっか。」
「?」和子さんは不思議そうな顔をしてこっちを見た。
「サークルのイベントってこういうこともするんですね。」
「だから呼んだの。」
「やっぱり?」
「何よ、やっぱりって。私の大事な右腕だよ。
そばにいてくれなきゃ働けないじゃない?」
「わ、私も手伝うんですか?」
「ううん、教えてもらうの。」
「教えるって・・・何を?」
「ウエイトレスってどういうことをやるのか。」
何も知らない人に教えるって大変なことだと言うのを
今日始めて知りました。
「さて、一通り終わったね。」
「和子さんってすごいんですね。」
「何が?」
「私はもっと何も出来なくて苦労かけたと思うんですけど・・。」
「はは〜、そういうことか。誰でも初めてのことってあるでしょ?」
「はい。」
「出来ないのは当たり前だよ。
後は本人のやる気次第。」
そんなこんなでレストランがオープンした。
予想以上のすごい人で、てんてこ舞いだった。
私は裏にいてお茶でも飲んでてと言われたんだけど
そうも言ってられなくなった。
その中でも和子さんは店の中央でたくさんの人を使っていた。
「あそこのテーブル片付けて〜。」
「はい。」
「そこのオーダー取ってね。」
「はい。」
冷静に見ると和子さんってこういう仕事好きなんだなって
それと一人で仕切っててさすがだなと思わされました。
あっ、あそこのテーブル、オーダー取れてない。
「どーしたの、さつきちゃん。」
「和子さん、奥のテーブル。」
「あっ、ありがと〜、そこ行ってね。」
すぐに指示を出してそのテーブルに店員を行かせた。
少し落ち着いてきた頃
和子さんが私のところに来た。
「さっきはありがとね。」
「いえ、お礼を言われるほどでは・・。」
「私、全然気づいてなかった。まだまだだね。」
「そんなことないです。和子さんはすごいです。」
「ほんと?」
「ほんと。」
「それじゃ、明日はさつきちゃんに手伝ってもらおうかな。」
次の日
ウソみたいなお客の数で
今日のほうがすごいことになった。
私は大学のこととか
サークルのこととか
そういうのは全然わからないけど
和子さんと一緒に働くことはよくわかるつもりだ。
「ふ〜、やっと終わったね、さつきちゃん。」
「はい、思っていたよりお客って来るんですね。」
「来るでしょ〜って私も想像してた以上だったけどね。」
「やっぱり。」
「ちょっと油断してたかな。」
これから打ち上げがあるというので
参加していってと言われたが断るつもりでいた。
そういう空気を和子さんは察したのか
私の返事を聞かずに連れて行った。
こういうのを問答無用っていうのかな?
打ち上げではみんなが盛り上がっていた。
ウエイトレスさんたち、ウラで働いていた男の人たち。
その中で、はじのほうで一人座っている男の人を見つけた。
パッと見はそんなにかっこいいほうでもないんだけど
何かが反応した。
何だろう・・・。

